『どんぐりと山猫』は裁判で終わり?「出頭すべし」と、最後の一郎を読む

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どんぐりたちの争いが静まって、一郎は山猫から感謝される。宮沢賢治『どんぐりと山猫』を、ここで「めでたし」にする前に、続きのはがきの相談も見てみて。

山猫は、次のはがきを「出頭すべし」という文面にしたいと相談します。一郎がそれを断った後、もうはがきは来ません。 そして最後には、一郎がその返事を振り返る言葉が置かれています。

今回は、青空文庫の本文をもとに、裁判の後まで読んでいこう。物語の結末に触れます。引用は宮沢賢治の作品からで、書かれている出来事と、そこから考える読み方を分けて話すね。

目次

どんぐりたちは、違う物差しで一番を争っている

争っているどんぐりは、頭がとがっている、丸い、大きい、背が高い、とそれぞれ違う特徴を持ち出します。自分が一番だと言いたいのに、そもそも何を比べるかがそろっていないんだね。

山猫が静まるよう言っても、また同じ争いが始まります。裁判はすでに三日目。そこで、一郎が山猫に別の言い渡し方を助言します。

山猫は、立派でないものこそ一番偉い、という方向へ条件をひっくり返して伝えます。すると、どんぐりたちは急に黙ってしまう。

ここで、誰か一個の形や大きさが優勝と認定されたわけではありません。「その条件なら自分が一番」と争っていた声が、条件の反転で止まった。そんな場面の仕組みとして読むと、急な静けさにも目が向くよ。

お願いのはがきが、「出頭すべし」に変わりそうになる

裁判を助けてもらった山猫は、一郎に今後も来てもらいたいと頼みます。お礼や、はがきの宛名について話した後で、出てくるのが「出頭すべし」です。

出頭は、指定された場所へ出向くこと。「すべし」が付くと、出向きなさいという命令の調子になります。自分の裁判を助けてほしいというお願いから、一郎を呼び出すような言い方へ変えたい、という相談なんだね。

一郎は、その言い方だけはやめたほうがよいと返します。山猫は残念そうにし、文面はこれまでのとおりにすると言います。

ところが、帰宅した一郎には、もう山猫からのはがきが来ません。最後の一郎は、出頭すべしと書いてもよいと言えばよかった、と時々思っています。

では、山猫は断られて腹を立てたから、もう呼ばなかったの?

そこまでは本文に書かれていません。招待が来なくなったことと、一郎が自分の返事を気にしていることは読める。でも、山猫のその後の判断まで一つの原因に決めないでおこう。

その場では言い方を断った一郎が、後からはまた招かれたかったように振り返る。裁判を解いた一郎にも、割り切れないものが残るように読める最後なんです。

はがきの最初と最後を、行き来してみよう

読み直すなら、最初のはがきと、裁判後の文面の相談を並べてみて。誰が誰に来てほしいのか、その頼み方がどう変わりそうになったのかを追うと、一郎の返事も考えやすくなります。

絵と一緒に物語を追いたい人には、宮沢賢治作・高野玲子絵の、偕成社『どんぐりと山猫』という選択肢があります。出版社の案内で、作品と作画者、ISBN9784039634108を確認できます。

宮沢賢治作・高野玲子絵『どんぐりと山猫』を楽天市場で確認する

今回確認した楽天掲載は中古品です。本文を読んだ青空文庫の底本は筑摩書房の『宮沢賢治全集8』で、購入候補の絵本とは別です。絵本の挿絵やページ割りを見て、感想を書いた紹介ではありません。

裁判が終わった後に、もう一つ残る、はがきの話。一郎は何を断り、最後に何を惜しんでいるのか。答えを急いで一つにせず、その二場面をもう一度読んでみてね。

参照:青空文庫『どんぐりと山猫』本文・図書カード、偕成社、楽天市場もったいない本舗。2026年10月21日確認。

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